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ネット上の誤報で被害届~大津いじめ自殺事件② [社会問題]

大津市立中学2年の男子生徒が自殺した件で、事件とは無関係であるにもかかわらず、同姓
だというだけで、いじめた側とされる男子生徒の祖父として実名をインターネットに掲載された
元警察官が、名誉毀損容疑で被害届を出したそうです。草津署が捜査を進めているとのこと。

「男子学生の父親による被害届けは受理しなかったのに、今回は随分と対応が早いですね」
と警察には嫌味の一つも言いたくなりますが、ネット上での「集団いじめ」さながらの無責任な
書き込み、常軌を逸した「犯人探し」にも正直うんざりします。
この状況を見聞きすると、残念ながら、学校側がいじめの調査について慎重にならざるを得な
い事情を多少なりとも感じてしまいます。

ところで、「いじめ」の話になると、すぐに学校関係者に責任を押し付ける風潮がありますが、
いじめは学校教育だけの問題ではありません。家庭教育の問題でもあると思います。
子供は誰よりも親の影響を強く受けますし、いじめは学外でも起こります。

そもそも、教育現場の努力だけで「いじめ」がなくなるという幻想は捨てたほうが良いのではな
いでしょうか。大人社会を見てもわかるように、いじめは決してなくなりません。
そして、学校側にできることと言えば、注意、指導、監督など強制力のないものに限られてい
ます。いじめる側にやめる気がなければ、いじめは続きます。いじめ問題の背景には子供達
の家庭環境や心理など学校教育以外の要素もあるでしょうし、教師は犯罪やいじめのプロで
も、カウンセラーや精神科医でもないのです。完璧なスキルを求めても無理です。
何かあれば条件反射のように学校を批判するマスコミにも、ある種の無責任さを感じます。

また、「本来は教育現場へ警察が介入すべきではない」などという生ぬるい奇麗事もやめてい
ただきたいものです。学校教育における教師の威厳が完全に失われ、モンスターペアレントな
る存在が増えつつある現状では、むしろ警察や弁護士の助けを借りる必要性を強く感じます。
そして、いじめ被害者の親の責任について言及するのはタブー視される傾向があるようですが、
SOSはあったのにいじめに気づかなかった、あるいは適切な対応ができなかったことにおいて
は教師と同じです。教師も人間ですから万能ではありません。我が子を守るのは親の役目で
もあることをもっと自覚する必要があると思います。傷ついた心に届かないという点では、学校
も保護者もどっちもどっちではないでしょうか。被害者は生徒であり、子供なのですから。。。

ただ、大津市の自殺事件のようなケースでは、学校側も生徒の命の重さを受け止め、ちゃんと
遺族側へ情報提供して欲しいと思います。「いじめ」と聞くとすぐに学校を責める社会にも問題
はあるでしょうが、今回のような対応では、「保身に走り、加害者側の肩を持っている」と思われ
ても仕方がないです。また、今後、いじめの実態だけでなく、亡くなった生徒の家庭環境、特に
親子関係などもできる限り明らかにされていくことを期待します。学校におけるいじめは目撃情
報が得られやすいですが、家庭内の出来事はほぼ密室で、表には出にくいですからね。。。

2012年8月22日追記:
大津市いじめ自殺でいじめの加害者とされる同級生のうち一人が今年5月、担任の女性教諭
に暴行し、手の指の骨を折る怪我をさせていたそうです。市教委によると、学校は「指導の中
で対応できる」と判断したとのことですが、甘いですね。犯罪を許してはいけません。
また、自殺した男子生徒をいじめたとされる同級生が、転校先で中学生への集団暴行に関わ
ったとして、傷害容疑で京都家裁へ送致されたようです。
どう考えても、いじめの加害生徒達をもっと早く警察に繋げるべきだったと思います。

2013年2月24日追記:
市が設置した第三者委員会は、「同級生からのいじめが自殺の直接的な要因だった」とする
最終報告書を市に提出したそうです。 報告書では「重篤ないじめに対する対応を誤った」とし
て学校側を批判。沢村憲次前教育長は「背景には家庭内の出来事もあると聞いている」と述
べていましたが、第三者委は遺族にも聞き取りを実施し、家庭の問題は要因と認められない
と判断したとのことです。
学校側の対応は批判されても当然だと思います。しかしながら、家庭内での出来事について
遺族への聞き取りで結論を出せたことが不思議です。個人的に、家庭内のことは不明としか
言いようが無いと思うのですが、何となく「先に結論ありき」的なものを感じます。

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