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埼玉いじめ自殺裁判で遺族が敗訴 [社会問題]

埼玉・北本市で2005年に当時中学1年生だった中井佑美さんがマンションから飛び降りて
自殺した件で、「娘が自殺したのは学校でのいじめが原因」「いじめの防止義務を怠った」
として、佑美さんの両親が市と国に対して損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は「自殺に
つながるいじめはなかった」「さまざまな要素が自殺の原因」として、両親の訴えを全面的
に棄却しました。 両親は控訴する方針だとのこと。

いじめの加害者を訴えても勝つ見込みがないとの判断なのか、行政を訴えた裁判です。
娘さんを自殺で失ったご両親は本当にお気の毒だと思うのですが、裁判所の判断は概ね
妥当なのではないかと思います。(いじめと自殺の因果関係の立証が不十分という意味)
佑美さんの遺書には「クラスの一部に勉強にテストのせいかも」と書いてあり、いじめの可
能性は否定できないものの、他にも原因があったと考えるのが自然だと思います。

たまたま佑美さんの遺書と小6時の担任教師との交換日記の抜粋のようなもの、裁判の
証人尋問の傍聴記録らしきものに目を通す機会があったのですが、正直、自殺に直結す
るほどのいじめの存在は浮き彫りにならず、いくつもの要因が重なった結果の自殺という
印象を受けました。ご両親がいじめと行政の怠慢にのみ原因を求めたい気持ちも分から
ないではないですが、遺書に書かれている「クラスの一部」以外の文言を無視していては、
原告の求める真実~佑美さんの真の苦悩に近づくことはできないと思います。
個人的には、本人と家庭にも何らかの問題があったように感じました。

小・中学校の教師達の対応についても、もちろん後から考えると最善ではなかった部分も
あるのかもしれません。でも、小6時の担任教師などは、忙しい中かなり頑張って佑美さん
の悩みに答えており、他生徒達の日記も読んだ上で対応していたと思われ、これ以上を
求めるのは酷なようにも感じます。厳しい言い方にはなりますが、いじめを認識していたと
主張する割には、親の対応にも至らなさを感じます。(教師も親も完璧ではないですから)

ただ、学校、教師、友人、家族…巡り合わせと言いますか、ほんのささいな環境の違いで
救われたかもしれない尊い命であったようにも思われ、残念でなりません。

2012年7月23日追記:
佑美さんのご両親が、一審判決を不服として東京高裁に控訴したそうです。
この裁判はいじめの加害者ではなく、市と国の責任を追及するものですが、原告側の請求
が全て認められるのは難しいように思います。

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