SSブログ

『Touching from a Distance(タッチング・フロム・ア・ディスタンス)』(2) [本・雑誌]

先日、何気にAmazonを覘いていたら、『Touching from a Distance(タッチング・フロム・
ア・ディスタンス)』(デボラ・カーティス著)の英語版の別ヴァージョンを見つけました。
表紙が、私の一番好きなイアンの写真だったので、思わず、カートに入れてしまいました。
「The inspiration for the film Control」と印刷されているので、おそらく、映画「Control
(コントロール)」の製作・公開に合わせて、増刷されたのだろうと思います。

この本を読んで、「癲癇の発作、(薬の副作用による)鬱症、フルタイムの仕事、妻と幼い
娘のいる家庭、バンドのフロント・マンとしての責務、熱狂的なファン等、イアン・カーティス
は何と背負うものの多い人だったのだろう」、そして「イアンと同じような状況で、呑気に、
陽気に暮らせる人がいたら、その人のほうが希少だろう」というのが私の正直な感想です。

癲癇の発作を抑えるためには十分な休養と規則正しい生活が好ましいそうですが、当時
のイアンの生活は全く逆だったようです。
癲癇の発作が始まった後も、しばらくの間、バンド活動と平行して、イアンはフルタイムの
仕事も続けていました。そして、バンドの人気が上がるにつれ、ギグの回数も増えていき
ます。忙しい生活の中で、イアンの癲癇の症状は悪化していき、最期の頃は、観客が観て
いるステージの上で発作を起こすこともあったそうです。また、亡くなる一ヶ月ほど前には
自殺未遂まで起こしていますが、その時すでにアメリカ公演が予定されていました。
そして、1980年5月18日、イアンは、アメリカに出発する前に自ら命を絶ちます。

1980年3月には、ジョイ・ディヴィジョンのセカンド・アルバム「Closer(クローサー)」のレコ
ーディングが行われています。そのレコーディングにイアンの愛人アニックが同伴したそう
ですが、その頃、イアンの異変に気づいていたのは彼女だけだったようです。
おそらく、ある時期からは、アニックがイアンの精神的な支えだったのだろうと思います。
(本書には出てきませんが、イアンは、アニックに宛てた手紙の中で、癲癇の発作に対する
恐怖と将来に対する不安について触れています。興味深いことに、イアンとアニックの関係
はプラトニックだったようです。)

本書で、著者(イアンの未亡人デボラ)は、アニックを一方的に批判して、家庭崩壊の原因
もイアンとアニックに求めているように感じます。
その気持ちは理解出来ますが、「死人に口無し」とも言いますし、デボラ、イアン、アニック、
立場の違う三者に、きっと、それぞれ違うストーリーがあるのだろうと思います。

P1000565.JPG

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。