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映画『Sid and Nancy(シド・アンド・ナンシー)』(3) [映画]

私は、『Sid and Nancy(シド・アンド・ナンシー)』は単なる恋愛映画ではなく、深刻な麻薬中毒と
共依存のお話だと思っています。

ナンシーはIQはとても高かったそうですが、生まれながらに障害を持っており、母親の愛情を感じ
ることが出来ないため情緒的に安定せず、子どもの頃から手がつけられないほどの癇癪持ちだっ
たようです。でも、当時はまだ医学的な解明が十分ではなかったため、問題行動の原因が分から
ずに、納得いく診断がもらえず、医者からも半ば見放された状態だったようです。
そして、我が娘を持て余したナンシーの両親は、経済的な援助はしつつも、厄介払いをするかの
ように、ナンシーをニューヨークへ送り出します。

ナンシーの親子関係が殺伐としていた様子は、映画の中でも多少描かれていました。
ナンシーはシドを自分の実家に連れて行ったことがありますが、ナンシーの両親は自宅に二人を
泊めたくなくて、ホテルの予約を取ったそうです。

シドとナンシーは、片方が亡くなったら残されたほうも後を追うという「DEATH PACT(死の誓い)」
を立てていたようです。シドの遺書には、「ナンシーの隣に埋めて欲しい」と書いてあったそうです。
でも、ナンシーの母親に拒否されて、実現しませんでした。
そこで、シドの母親は夜中に墓地に忍び込んで、ナンシーのお墓にシドの遺灰を撒いたそうです。

そんな話だけ聞くと、つい息子思いの母親だと勘違いしそうになりますが、驚くことに、シドが麻薬
の過剰摂取で亡くなった時、問題のヘロインを用意したのはシドの母親だったようです。
そして、当の母親のほうは、シドが命と引き替えに残した印税を受け取り、64歳まで暮らしたらしい
です。

細かい事情は違うにせよ、親の愛情を十分に感じることが出来ぬまま、自己の存在意義を見つけ
られずに育った二人の波長がぴったり合って、共依存関係を形成していったように思います。そして、
ナンシーの抱える障害と二人のヘロイン中毒が、状況をより複雑なものにしたのだろうと思います。
当時、相思相愛だったはずの二人が、麻薬を奪い合う光景も珍しくなかったようです。

また、ナンシーは時折シドからDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けることがあり、病院で縫って
もらうほどの大怪我を負ったこともあるようです。(ナンシーが母親に話したことがあるそうです。)
それでも二人が別れなかったのも、決して共依存と無関係ではなかったのではないかと思います。

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